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それでも、日本人は「戦争」を選んだ |加藤陽子

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それでも、日本人は「戦争」を選んだそれでも、日本人は「戦争」を選んだ
加藤陽子
朝日出版社 刊
発売日 2009-07-29




相変わらず難しい 2009-08-27
本書は歴史部などに所属する中高生に対する、著者による5日間に及ぶ講義を活字におこしたものである。

その内容は、まず、E・H・カーやアーネスト・メイなどの著名な歴史家の議論などを紹介し、物事を歴史的に考えるとはどういうことかを説明、

その後、日清、日露、第一次大戦、満州事変、日中、太平洋戦争の各論へと続いている。

表紙にもあるように、「普通のよき日本人が、世界最高の頭脳たちが、「もう戦争しかない」と思ったのはなぜか?」という問題に対して、様々な角度から噛み砕いて論じている。

基本的には、著者の別の著作のタイトルにあるように、それぞれの『戦争の論理』を読み解こうというものだ。

それに加え、基本的な歴史学の観点である出来事の因果関係や影響、著者の言葉を借りれば

「時々の戦争は、国際関係、地域秩序、当該国家や社会に対していかなる影響を及ぼしたのか、

また時々の戦争の前と後でいかなる変化が起きたのか」(8頁)についても説明している。

本書を読んで改めて実感するのは、この場合戦争だが、何らかの出来事は後世の人間が読み解いた国際関係や環境などが直接原因となるのではなく、

それらを同時代に生きた[人間]がどう解釈し、どう判断し、どのような決断を下したのかによって起こるものだということだ。

その合理/不合理性を判断するのは後世の学者の仕事になるのだろう。

歴史学に対して色々と批判はあるが、そこのところがきっちりしていないと、何らかの「事実に近い解釈」に近づくのは中々難しい。



本書の内容はというと、話し方などは平易ではあるが、相変わらず難しい。

というのも、様々な角度からの関連性や論理のつながりに目を向けているため、話があっちこっちにいったり、時代が前後したりしているからである。

丁寧といえば丁寧だが、理解するのにはちょっと根気がいる。

最後に、著者が松岡洋右びいきなのがちょっと面白かった。



歴史としてのあの戦争 2009-08-26
どうしても、あの戦争のことになる感情論やそれに似た善悪の話になってしまい、ついていけないことが多いのですが、この本は栄光学園の生徒に、東大で歴史を教えている先生が、日清日露第二次世界大戦の仕組みを繙くといった塩梅で講義した五日間の内容をまとめたモノで、しっかりした内容をかみ砕いている印象です。



レイアウトも気が利いていて、ページ下の欄外に人物の肖像があり吹き出しをつけてその人がいった言葉をしゃべらせていたり、一口メモでまとめたり、図やグラフなど、盛りだくさん。学べます。



戦争とは、一筋縄ではいかない、政治にともなう外交や経済を、国力の差、各国の利害関係などを、武の力で白黒をつけるという野蛮さがあます。

野蛮さの言い訳の本ではなく、一筋縄でいかないことについての本です。

良書!

失敗の本質に似ている 2009-08-19
この手の切り口は無かったので、面白い。



よしのりが好きな人も嫌いな人も読んでて損は無い著。



そもそも日本は立案は好きなんだけど、



良くも悪くも反省、と言うかやり直しがヘタな民族。



今回の選挙も、やる前に前回、どんな政治家に投票したか?



その結果はどうだったか?



考えるの忘れてやいませんかね。



結論的には多くの人の希望通りの右寄りよりではないです。



今の30歳以下の人にとっては、死ぬまでに自分が戦争に関わる可能性はけっこうあります

(70%ぐらいかな)



1年後かもしれないし、20年後かもしれないけどね。



今のウチにこういうことを考えておくことは無駄じゃない。と言うか必要なことでしょうね。





戦争を避けるには、戦争をよく知らねばならない! 2009-08-14
近代日本が行った戦争という話になると、戦後は一切戦争をしていないので、明治維新から終戦までという話になるが、日清日露の両戦争に代表される前半と、満洲事変に始まり終戦に至る15年戦争に代表される後半に大きく分かれる。前半については、日清戦争はともかく、日露戦争は全くの辛勝で、いくつかの大きな幸運に助けられたという側面は否定できず、織田信長の行った戦争に例えるなら、桶狭間の戦いあたりになるのであろう。ただし織田信長は生涯に一度しか桶狭間の戦いのような戦争をしていないが、日本軍はこの日露戦争をその後の範としてしまったところがあり、太平洋戦争末期の負け戦であることが歴然としている状況下でさえ、インパール作戦のようなとんでもない起死回生の大博打を打って墓穴を掘っている。そして前半と後半の間にくるのが第1次世界大戦であるが、日本はここでは本格的な戦闘をなんら経験せずに漁夫の利を得たことが、かえって総力戦時代に見合った軍隊の近代化を遅らせることになる。太平洋戦争を待たずとも、そのことが如実に現れたのがノモンハン事件で、2度の五ヵ年計画ですっかり様変わりしたソビエト軍に、泣く子も黙る関東軍は翻弄されることになる。"賢者は失敗から学び、愚者は同じ失敗を繰り返す”と言うが、日本の軍部がどうしてソ連をアメリカに替え、戦場を陸から海に替えればすべてうまくいくなどと思ったのか理解不能である。ノモンハン事件で、もっと悍ましいのは、辻政信あたりのA級戦犯が大した処分もされずに、ほどなく軍部の中枢に返り咲いているのに対し、彼の命令に忠実であった何人もの下級仕官は理由にもならない理由で、詰め腹を切らされて、自決に追い込まれている。



前半と後半を分ける大きな違いは、前半は、軍人ではないが日清戦争でPivotal Leadershipをとった伊藤博文あたりが典型的であるが、幕末に下級武士としての教育を受けた人達が担ったのに対し、後半の戦争を担ったのはいわゆる陸大あたりで養成されてきた軍事Technocratsで、東条英機あたりがその典型となる。近代国家の戦争は、国家をあげての営みで、特に第一次世界大戦後のように総力戦の時代に入ると、なおさらである。当然軍事と政治、外交、経済がきちんと統括されないとまともな戦いはできない。下級武士の教育というのは、いわゆる儒学と朱子学中心というか、要するに、論語あたりを幼い頃から、意味がわかろうがわかるまいが関係なく、素読させる。それでどういう技術が身につくというわけでもないのだが、大所高所から考えるという人生や社会に対する処し方は身につく。技術的なものは後で必要になれば、大急ぎで勉強することも、あるいは下の者に任せることもできるが、この大所高所から考えるという態度は一朝一夕に身につくものではない。これに対し、陸大あたりの教育は、完全に軍事技術的な話に偏り、戦争でLeadershipを取る人間に絶対欠かせない社会科学あたりの教育はほとんどないかお粗末そのものである。結果として、蛸壺的な軍事に関する知識以外には、他愛もない精神主義しかない軍事Technocratsを大量に生み出し、こういう人間が、国家をあげての戦時体制に移行して、経済や外交にも嘴をはさんでくるようになるとどうなるかをまざまざと示しているのが、15年戦争の頃の日本である。太平洋戦争の火蓋を切った真珠湾攻撃の折も、敗戦を決定的としたサイパン陥落の折も首相の座にあったのは東条英機である。安部信三元首相の外祖父にあたる岸信介は、東条内閣に商工大臣として入閣しているが、東条を評して”裸にすれば、橋本欣五郎以下の男だ”と喝破している。橋本欣五郎というのは、三月事件と十月事件というチャチなクーデター未遂事件を起こした桜会の中心人物で、奇矯な行動で有名な方である。ドイツの社会学者Max Weberは”最高の官僚は最低の政治家である”という名言を残しているが、これが見事なまでに当てはまるのが最高の軍事官僚であった東条なのである。官僚というのは、規則にさえ従っていれば、その結果に対して責任を問われることはない。これに対して政治家は結果責任である。東条の側近であった星野直樹は東条を評して、”やれと言われれば何でもできるが、そこから先がない”と的確なCommentを残している。満州事変の立役者で、東条と犬猿の仲だった石原莞爾あたりになると、もっと辛辣で、極東軍事裁判の参考人として”あなたと東条はよく意見の対立があったようですが...”と水を向けられると



”私には多少とも意見がありますが、東条には意見と呼べるものが全くありません。意見のないものとは対立のしようがありません。”



と鰾膠も無い。



著者の加藤陽子女史は一貫して近代日本の戦争史を研究されている方で、今の日本でこの話題を語らせたら、女史の右に出る者はいない。是非一読を薦めます。御主人が東進High Schoolで日本史を教えておられることが関係あるのかもしれないが、女史は最近若者への啓蒙活動に力を入れられているようである。


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